--> WINO LABORATORY - ESSAY No.11 -



DJ大沢睦生はアホなのか?

 以前このラボでも書いたと思うが、私はDJの大沢睦生さんが大好きである。ここで大沢睦生って誰よ?という人の為に、簡単なプロフィールを紹介しておく。

大沢 睦生【おおさわ むつき】
 1969年生まれ、長野県出身。元新宿「Rolling Stone」DJ。「CLUB SNOOZER」「CLUB SNeeZER」「FREAK AFFAiR」「Willy」等のレジデントDJ。CLUB SNOOZERは2002年12月末をもって脱退。2003年3月22日より3.2.8土曜"THE BIGGEST BLOW"レギュラー決定。パンチ佐藤似。

 私が初めて睦生さんのDJを聴いたのは、名古屋で行われたCLUB SNOOZER(以降クラスヌと表記)においてである。クラスヌは去年7周年を迎えているのだが、彼が加入したのはかれこれ4年くらい前。ある程度クラスヌのカラーが出来上がってきてからのことだったので、彼がクラスヌで回している姿は違和感があって好きではなかった。クラスヌのレジデントDJは彼の他に田中宗一郎と村圭史の2人がいるのだが、この2人のDJスタイルは結構似通っていて、一言で言えば”知的”な回しっぷりである。睦生さんのDJスタイルとは大きくかけ離れているのだ。それでは、睦生さんが宗さんや村君とどうかけ離れているのか?簡単に言ってしまえば睦生さんのDJは残りの2人に比べ非常に”アホっぽい”。村君のDJが好きでクラスヌに通っていた私には、とにかく不快以外の何者でもなかった。睦生さんに対する第一印象はこんな感じ。「睦生さん=ニルヴァーナとマッドハニーとジザメリを一緒にかける人=ヤリたくてモンモンしてる童貞君みたい=もしやアホ?」おもいっきりぶっちゃけちゃってゴメン。1年間ぐらい、そう思っていた。
 この私の印象を実証する為に、2002.3.29(fri)新宿リキッドルームでのクラスヌ・セットリストを一部抜粋してみたい。各自の個性がとても良く出ていると思うので見て欲しい。

【村圭史】
1.THE COOPER TEMPLE CLAUSE/FILM MAKER
2.PRIMAL SCREAM/MOTORHEAD
3.BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB/WHATEVER HAPPEND TO MY ROCK'N'ROLL(PUNK SONG)
4.NIRVANA/BREED
5.MUDHONEY/SUCK YOU DRY
6.THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION/SWEET N SOUR
7.THE CLASH/LONDON'S BURNING
8.JOHNNY THUNDERS & THE HEATBREAKERS/BORN TO LOSE
9.THE BLUE HEARTS/キスしてほしい
10.THE BEATLES/I WANT TO HOLD YOUR HAND
11.THE WHO/THE KIDS ARE ALRIGHT
12.THE STROKES/SOMEDAY
13.THE YARDBIRDS/STROLL ON
14.THE WHITE STRIPES/EXPECTING
15.LED ZEPPELIN/GOOD TIMES BAD TIMES
16.KULA SHAKER/HUSH
17.ROSSO/シャロン
18.THE OFFSPRING/COME OUT AND PLAY
19.GREEN DAY/HITCHIN'A RIDE
20.THE CLASH/CLASH CITY ROCKERS
21.QURULI/アマデウス


【田中宗一郎】
1.FUMIYA TANAKA/DRIVE#1
2.FUSE VS LFO/LOOP
3.RIVER OCEAN feat.INDIA/LOVE AND HAPPINESS
4.DJ ROLANDO A.K.A.THE AZTEC MYSTIC/JAGUAR
5.THE CHEMICAL BROTHERS/STAR GUITAR
6.SUPERCAR/YUMEGIWA LAST BOY
7.QURULI/ワールズエンド・スーパーノヴァ
8.DAFT PUNK/HARDER BETTER FASTER STRONGER(BREAKERS BREAK  REMIX)
9.THE SMASHING PUMPKINS/1979
10.中村一義/セブンスター
11.中村一義/キャノンボール
12.中村一義/1,2,3
13.REGURGITATOR/HERE WE GO(FUCK THE GODDAM WORLD)
14.BLUR/SONG 2
15.SUPER FURRY ANIMALS/(DRAWING)RINGS AROUND THE WORLD
16.T.REX/20TH CENTURY BOY
17.SOUL FLOWER UNION/海行かば 山行かば 踊るかばね
18.JACKSON 5/I WANT YOU BACK
19.MOVER/MOVE OVER
20.THEE MICHELLE GUN ELEPHANT/ダニー・ゴー
21.THE LA'S/THERE SHE GOES
22.OCEAN COLOUR SCENE/UP ON THE DOWN SIDE


【大沢睦生】
1.THE JERRY LEE PHANTOM/FREEDOM
2.BEN FOLDS FIVE/SPORTS AND WINE
3.BRENDAN BENSON/I'M EASY
4.AMERICAN HI-FI/FLAVOUR OF THE WEAK
5.ZEBRAHEAD/PLAYMATE OF THE YEAR
6.ANDREW W.K./PARTY HARD
7.ASH/BURN BABY BURN
8.JUNCTION 18/SWEET STEPS
9.THE PROMISE RING/EMERGENCY!EMERGENCY!
10.JIMMY EAT WORLD/SWEETNESS
11.WEEZER/KNOCK-DOWN DRAG-OUT
12.GREEN DAY/CHURCH ON SUNDAY
13.THE WANNADIES/MIGHT BE STAR
14.A/STARBACKS
15.THE DOORS/BREAK ON THROUGH(TO THE OTHER SIDE)
16.THEM/BABY PLEASE DON'T GO
17.THE STROKES/LAST NITE
18.THE HIVES/MAIN OFFENDER

 それぞれのセットリストについて一言感想を述べるならこんな感じだ。
【村圭史】  ⇒硬派で荒んでいる
【田中宗一郎】⇒何でもありでイイトコ取り(中村一義3連発は反則では?)
【大沢睦生】 ⇒ノー天気でテンションが高い

 それぞれのスタイルが少しは把握できただろうか?さてこの文章のタイトルにもなっている命題「DJ大沢睦生はアホなのか?」 をもう一度思い出そう。そしてこの命題を解くためにもう少し細かく見て行くことにしよう。
 ロックのDJの場合、必ず盛り上がる曲というのが存在する。この理由については、以前のSNOOZER誌での村君のインタビューの中に、答えに近いことが語られていたので、筆者が要点のみまとめてみた。
 「リスナーとしての俺はロックも好きだけれど、テクノも好きだ。ではなぜテクノのDJではなく、ロックのDJになったのか?テクノは音の変化を楽しむところが大きい。繋ぎの楽しみとか、山作って谷作って『ドーン!!』ってのをやりたいために落ち着かせてって。だからテクノのDJはそれに向かってひたすら音を組み立て行く。DJとして俺はそこにあまり楽しさを感じない。それに対してロックは曲そのものが強い。だからロックのDJは、曲の意味性とリスナーの記憶を上手く利用する。リスナーは曲に対して個人的な思い入れや感慨を持っているから、ロックのDJはその共通の意味性に向かって投げていく。それが面白い。」
 つまり、多くのリスナーが耳にし思い入れがある曲程、盛り上がるのである。

 それでは3人のDJのセットリストの中で、盛り上がるであろう部分を抜き出してみよう。(客観的に見て決定したつもりであるが、主観が拭えていない部分は目を瞑って頂きたい。何れにしろロックなんてエゴの発露だからね。)
【村圭史】  ⇒4,9,17
【田中宗一郎】⇒10〜12,14,20
【大沢睦生】 ⇒5,6

 次に、先に挙げた盛り上がるであろう曲を念頭において、全体的な流れを見てみよう。
【村圭史】  ⇒4の後6のジョンスペへ、9の後11のザ・フーへ、17の後20のクラッシュへ、という風に、盛り上がる曲の2曲か3曲後にはブルース、ガレージ、パンクといった方向へ流れている。
【田中宗一郎】⇒全体的に盛り上がる曲ばかり回しているので、村君のように規則性というのは存在しないのだが、決してハードな方向へは流れず、常にフラットに近い状態でまったりと盛り上がっている。
【大沢睦生】 ⇒4から段々と盛り上がり6でピークを迎えるが、その後も決して勢いを緩めず14まで突っ走る。

 これで睦生さんの特徴がお分かり頂けたであろうか?ポップでキュートでキャッチーな曲(パワー・ポップと呼んでも差し支えないかもしれない)が多く、振り切れてしまうと当分は戻ってこない。振り切りれてしまった部分が4〜14に当たる訳だが、この間は全く知性の欠片もない(筆者はこの間を”かわいい系”と呼んでいる)。しかし、かわいい系に入る前後、1〜3と15〜18を見ると、本当はバカではないのでは?という疑問が沸いてくる。更に、セットリストには載せられなかったのだが、深夜に必ず数十分、テクノ/ダンストラックばかりを回すテクノタイムを入れる。どうも生粋のバカではないらしいのだ。また、かわいい系にしても確かに振り切れてはいるのだが、ハードコアやメロコア、ミクスチャーを連続で回す程大きく振り切れることもない。例えるならば「有島博志」と「伊藤英嗣」を足して割った感じ(わかる人にはわかるネタでゴメン!わからない人はインターネットで検索してみてネ。ゴロゴロ出てくると思うから)。まあ、どちらに傾いてもハードコア・オタクかネオアコ・オタクにしかならないってことだ。睦生さんのDJはこの間の微妙なバランスで成り立っているのである。4〜6、10〜12の流れなんかどうだ!程よく若く元気良くで、アグレッシヴな感じは一切なく、あくまでもハッピーなムード全開のままではないか!
 以上のことから導き出された解 ⇒ DJ大沢睦生は計算され尽くされたバカである!
 ってことで、知性溢れるあの2人の間であくまでもバカに徹する睦生さん、だいっ好きです!いつまでもオレのハートをドキュンして下さい。クラスヌ復活望む!みんなハガキ書いて!

(2003.1.4)





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